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【会山行報告】2001.10/28up
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前穂高岳北尾根 山行報告
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期日:2001/07/06N〜08(日)
場所:北アルプス・前穂高岳北尾根
目的:マッターホルントレーニング(岩稜登擧・ザイルワーク)
メンバー:6名
A隊・川名、菅野/B隊・清水、吉野/C隊・中山、白土
○行程と行動内容 ※コースタイムは中山upよりコピー
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7/07(土) 晴れ
上高地BT6:30〜7:15明神7:30〜8:10徳沢8:40〜9:30横尾10:10〜11:00本谷橋
本谷橋11:25〜13:25涸沢15:00〜17:005・6のコル(テント泊)
天気予報でも確認し雨を覚悟して、先週は古い雨具のためずぶ濡れ経験をした者 のうち今回参加の3名が新品のゴアテックス雨具を持参しての合流となったが、 早朝の上高地は、朝日の中に雨上がりのすがすがしさが漂う、とても気持ちのよ いお出迎えとなった。先週の早駆けトレーニング時とほぼ同様の荷物にプラス、 ザイルや個人登擧用具が増え、ザックはズシリと重い。登山者も先週よりは多い。 徳沢のソフトクリームはまだだった。 涸沢着13時半。涸沢直下で残雪が出るも順調に登り着き全員ほっとしたのか気 がゆるみ、約1時間半の大昼休みとなる。お昼寝タイムの後、出発。涸沢から5 ・6のコルまでは完全な雪上歩行となり、特に後半は急峻な斜面の登りとなった が、今回は全員キックステップによりアイゼンをつけずに行動した。5・6のコ ルは、2人用テントがかろうじて張れる平らなスペースが3カ所程あり、我らで 独占となった。七夕の天の川を期待したが、日が落ちる頃に薄雲が空を覆って駄 目になる。明日のために午後7時過ぎには消灯。
7/08(日) 晴れ 午後から曇り
5・6のコル5:30〜6:105峰ピーク6:30〜4峰ピーク8:10〜8:253・4のコル 8:50〜2峰ピーク
2峰ピーク11:40〜12:00前穂高山頂13:00〜13:30紀美子平
・川名、菅野、白土組※先発下山
紀美子平13:30〜14:40岳沢ヒュッテ15:00〜16:15上高地→病院(白土受診)
・中山、清水、吉野組
紀美子平14:00〜16:00岳沢ヒュッテ16:30〜17:55上高地BT
4時過ぎ、小鳥のさえずりで目が覚める。隣のテントからはかすかにお湯を沸かす音がする。快晴である。こんなにまぶしい朝は久しぶりだ。今回、本番岩登りが全くの初体験というのは吉野さんだけだが、他のメンバーも初心者の息を脱していない者が多いので、皆それぞれに緊張の色は隠せない。6名が2名づつの3チームに別れて出発。先頭はC隊の中山、白土組、真ん中に B隊の清水、吉野組、ラストに川名、菅野のA隊とした。それぞれのチームが、45〜50mの9mmザイルを、各自15m程度ずつ肩掛けに巻き、中間の15m程を残しタイトロープ方式のアンザイレンをする。チームのお互いをつなぐザイルは、それぞれが2〜3巻きして手に持ち、お互いの間隔は1〜2メートルに保つ。お互いをつなぐザイルは、浮き石を落としたり岩角に引っかかったりする可能性があるので、地面に引きずらない様にする。この状態、つまりアンザイレンをして出発。5峰のピークまでは、岩稜ではあるが比較的歩きやすく浮き石もさ ほど無かった。
少し長細い5峰のピークを下ると4峰の登りとなる。ガイドブック等を読むと、北尾根は3峰が核心部となっていて、3ピッチほどの3峰ルート はフェイスクライミングに近く、岩登りそのものの難易度はやはり高くなるが、近年崩壊が激しく、また残雪が消える時期の今頃は、北尾根の中で一番注意しなくてはならないのは、実は4峰の登りである。4峰の登りは途中、切り立ったリッジから左右二つ(奥又白側と涸沢側)のルートがあり、どちらのルートを選ぶかは各チームの判断にゆだねた。トップの中山組は右側、セカンドの清水組はトップに追随し右を選んだが、ラストの我々は過去に両ルートを登っている経験から左側を選んだら、清水組もこちらに変更し、2パーティが左側となる。我々が先行となり左側ルートに入り、セカンドの清水組がリッジにたどり着いた時に落石が発生。中山の「落〜ク!」という叫び声と共に、落石のガラガラ・バチバチという音が響いた。かなり大きな岩が落ちていく音と共に、明らかに石とは違う鈍いドスンという滑落音が聞こえ緊張する。振り返ると吉野が、「落ちた落ちた」と言う。先行する菅野に声をかけ、中山組が見えるリッジまで戻ると、先行していたはずの中山が、白土の5メートルほど下に、上下逆さまの状態で止まっているのが見え、声をかけると「大丈夫で〜す」と、かすれ気味の声で言うが、身動きがしにくい様子でもがいている。菅野の持つザイルをフリーにし、私が中山がいる場所まで登りサポートする。中山は斜度50度ほどのルンゼ状の岩場に、ザイルに止まった状態で逆さになっおり、片方の肩から抜けかかったザックがじゃまをしてなかなか身体を起こせない状態でいた。白土は上部でザイルを押さえた状態で動けず、私がまずザックを脱がせて身体を起こさせ、ザイルの重さから白土を解放する。見たところ怪我をしている様だが 身体は動かせるので、白土のビレーで中山から安全地帯までクライムダウン。その後、中山のビレーで白土もクライムダウンをした。怪我は中山の右手中指第1 関節の裂傷(傷は浅いがだいぶ出血していた)と、肘などの擦り傷、各所の軽い打撲程度。白土は落石にかすられたと思われる左前腕内側の切傷(長さ50mm深さ5mm 程度)。応急処置として、吉野が携帯していた救急セットにより、消毒後、バンドエイド5〜6枚を使用し、開いた傷口を閉じるように貼り付ける。幸い出血は直ぐに止まった。滑落した岩場は、4峰の登り中間部分、リッジの角度がほぼ垂直となり、ルートが左右に分かれる場所から、右側ルートを15メートルほど登った付近。斜度約 5〜60度の浅いルンゼ(ジェードル?)状であった。滑落時の様子は、本人達からのコメントによると、中山が何の気無しにつかんだ、大きさ50cm角程度の岩が浮き石であった為その岩と共に約5m滑落。白土は夢中でザイルを握ったが、タイトロープによるビレー中であった為に伸びていたザイルが、運良く岩角に引っかかり滑落が止まる。その際に白土の左腕をかすめて落石が通過した為に切傷 した模様。尚、使用していたザイルにも落石によると思われる損傷があった。傾斜も緩く約15m程下にはテラスがあり、岩角にザイルが引っかからなくても、数100m下までは滑落しなかったと思われるが、もし引っかかりが無ければ、白土も滑落に巻き込まれ、両名とも大けがをしたであろう事が十分推測される。その後、左側ルートより垂直リッジの上部に回り込む形で抜けて4峰のピーク着。4峰クライムダウンの後、3・4のコル着。少し長い休憩をとる。
さていよいよ3峰の登りである。ここで本日初めてのスタッカットによる登擧となる。ピッチは3ピッチほどだが、中山も先ほどのアクシデントで気持ちが収縮しており、その他、清水・吉野組など初本番のチームもあるため、若干緊張する。
川名組、菅野がリードし、川名が1ピッチ目の中間テラスで2番手の清水・吉野 組のリード者、清水を待つ。中間ビレーなどの注意をし、1ピッチ終了。2ピッチ目のチムニー状のチョークストーンに皆苦労していたが、全員無事に3ピッチ終了、その後ひと登りで3峰ピーク着。3峰のピークから直ぐに2峰の登りとなり、2峰のピークに立つと、直ぐ目の前に前穂の本峰が現れる。 2峰のピークから鞍部まで、約20メートルほどのクライムダウンをし、数10 メートル登ると前穂山頂着。ちょうどお昼となる。
下りは、長い岳沢を降りたが、中山が調子を崩したので、チームを二つに分けて、 おそらく縫合する事になる白土を病院へ行かせる為に白土と共に先に下山をする。久々に、足が棒になる程歩き通して、上高地到着。バスターミナルにて出発寸前のバスに飛び乗った。下山後、白土は、救急指定病院である波田総合病院(波田町)にて治療を受ける。
怪我をした白土に車で送ってもらい、最終のあずさにかろうじて間に合う。車組の清水、白土と別れ、駅前のスーパーで購入した総菜と恵比寿ビールを電車内にて乾杯。やっといつもの中山らしいお喋りが聞こえ出す。但し疲れもあり、私は直ぐに夢の中となる。あずさの車内は暑かった。
以上、報告のみ
川名@森羅
反省:
今回、私は4峰の登りで、浮石を掴み5mほど斜面を滑落してしまいました。
コンティニュアスで行動していたため、ザイルが岩角に引っかかり、また誰も 落石にあたらず大事には至りませんでしたが、パートナーの白土が、左腕を5cmほど、岩で切り縫合しました。また中山は右手中指第1関節付近を切った他、露出していた両腕のあちこちに擦り傷、足(ふくらはぎ)は軽い打撲、Tシャツ、ズボンは何箇所か擦り切れてしまいました。
たまたまザイルが岩角で引っかかったため、大事には至らなかったですが、これがなかったら、白土も私も、無事ではいられなかったのではなかったのではないでしょうか。
前後の状況は、良く覚えていないのですが、浮石でないことを確認して体重をかけたはずなのですが、その石は紛れもなく浮石だったということだけは事実です。(雪解け直後で浮石はものすごく多かった) 乗っている石は浮石と考えて差し支えないのではないでしょうか?
原因として考えられるのは、ひとつは浮石が多かったにもかかわらず、注意力が散漫になっていたのではないか(山をなめていた)のかもしれないということ、ひとつは私たちはルートを尾根の右側を取ったのですが、他の2組は尾根の左側をとっており、たまたま左側に出られそうな地形があり、そこで早く左側に抜けたいという焦りがあったということです。
白土・中山とも骨折、捻挫等はなく、自力で動けたので登攀は続行しましたが、その後は腰が引けてしまい、指が使えなかったせいもありましたが、なんでもな いような場所でも行動が緩慢になり、ほとんどの場所を白土にリードしてもらい ました。 またその後は、川名・菅野組、清水・吉野組、白土・中山組の順で行動し、私が一番最後になったわけですが、どの岩場も皆スイスイ行ってしまい、私だけがつまずいて「良くこんなところを登っていったなぁ」としばしば思いました。
それでも、何とか前穂の山頂に登頂したときは、なぜだか涙が出そうになりま した。
仲間の励ましと、白土のリード、川名リーダーの所々での的確なアドバイスが なければ、登頂はおろか行動もできなかったかもしれません。 皆さんには感謝の気持ちと、大事は至らなかったとはいえアクシデントを引き起こし、迷惑をかけてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいで、この気持ちは言 葉になりません。
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バリエーションに限らず、山ではどんな事態が起きてもおかしくないことは、 頭では分かっていたつもりでしたが、自分が当事者になり、「一歩間違えば命を 落とす可能性もある」という事を改めて痛感しました。
ましてバリエーションでは、ザイルを組んで行動することが多く、自分のミスが、パートナーの命を奪ってしまう可能性も非常に高いわけです。 口ではパートナーに命を預けたと言うのは簡単なことですが、何かあったときは、それではすまないと思います。当人同士はいいとしても、残された家族は悔やんでも悔やみきれないと思います。
今回の事例は肝に銘じて、今後の登山に活かしていきたいと思います。
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今回の事例は、自分でも「まさか」と思うことでした。また、今回のようなこ とはしょっちゅうあるものではありません。しかし「起こる可能性があることは起こる」のです。
皆さんも山に慣れてきて、慢心していませんか?「こんなことくらい」といこ とでも大きな事故につながる可能性を秘めています。
だけど、慎重になりすぎて、アクシデント後の私のように、動けなくなってしまった(或いは考えすぎて山にいけない)のでは本末転倒です。
山登りは大胆さと細心の注意を払うことのバランスで行うべきなのでしょう (と、川名リーダーに言われた)。
最後に以前にも書きましたが、私が車掌見習時代に鉄道教習所の先生が仰った言葉を記しておきます。
「仕事(登山)には、慣れろ。されど馴れるな」
中山@森羅
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