Mountaineering Report  by group Mt'SINRA


2007.01/21up
 










山行名 2006年度冬合宿・中崎尾根から槍ヶ岳
期間2006.12/30〜2007.01/04(予備日含む) ※01/02に下山
場所北アルプス・中崎尾根から槍ヶ岳ピストン
目的 厳冬期北アルプス体験と地域特性の把握
  ・主目的:厳冬期北アルプス体験
  ・副目標:槍ヶ岳の登頂とチームワーク形成

メンバー 8名
川名CL、松井L、原L、
神戸(会計)、玉那覇(装備)、清水(医療)、篠塚(気象)、浅沼(記録)

予定行程
12/30 入山〜槍平(テント泊) ※滝谷避難小屋前(泊)
12/31 中崎尾根〜尾根上にBCテント設営(泊)
01/01 槍ヶ岳登頂〜BC(泊) ※槍平まで下山(泊)
01/02 BC撤収〜新穂高下山 ※下山
01/03〜04 予備日 ※使用せず


総括

回は8名という手頃な人数で、昨年の奥穂高岳(涸沢岳西尾根)に続き槍ヶ岳に登ることができた。 天候にも恵まれ、ルート上はトレースもあり、尚かつリーダー3名で2名をサポートするという環境での登頂であり、ほとんど不安無く行動が出来たのは幸いである。
 但し、何をやらせても遅い。というのは何とかならないものか。特に車を駐車場に入れてから出発するまで、1時間以上かかるというのはどういうことか…?テントの設営も遅く、強風などの悪天候での状況下における設営に心配が残る。今後、準備・設営・撤去等のトレーニングを重点的に実施したい。

恵まれた好条件の中、予定の行程をほぼ完全に消化できたことはうれしい。ただ、あまりに良い天候であったため、当初目的であった、厳冬期北アルプス体験については、達成できたかどうかあやしい。

結果

・登頂者5名、BC地点(標高2450m)到達者8名(全員)。
・期間:12/30〜01/02 槍ヶ岳登頂01/01(元旦)07時52分

記録

【12月30日(土)】
1100 新穂高温泉駐車場出発
1300 穂高平避難小屋手前着 (20分休憩)
1450 白出小屋付近着 (15分休憩)
1650 滝谷避難小屋手前着 (15分休憩)
1730 滝谷避難小屋着
    ※滝谷避難小屋前にてテント設営
1915 夕食
2100 就寝


                   下りに見た中崎尾根
Report

12/30(土) 天候:晴れ

車、浅沼車の2台の車に便乗し、それぞれ新穂高温泉へ向かう。
原車は、暗い内に新穂高温泉まで入り駐車場で仮眠。浅沼車は、塩尻IC近くの"信州健康ランド"にて朝まで仮眠。集合時間の10時に遅れること15分で新穂高温泉へ到着した。ちなみに、新穂高ロープウェイの駐車場は無料開放。全員が合流した時点でそれぞれ持ち寄った共同装備と食材を配分しパッキングを済ませる。

真っ青な空の下、少し出遅れ気味の出発をする。時間的に予定していた槍平までは厳しいと思われたが、行けるところまでと先を急ぐ。積雪はあまり多くないが、新雪が積もり、なかなかの雪景色を楽しみながら、長い蒲田川林道を歩く。途中、白出の避難小屋が無くなっているのにはびっくりした。利用者があまりいないから?それとも老朽化?。いずれにしても、ある場所に小屋があると無いとではだいぶ違う。新しく建ったりはするのだろうか??

暗くなっても槍平まで行こうかと決心をした頃、清水が重荷の為かダウンしてしまい、日も落ちたところなので滝谷避難小屋前にテントを張る事にした。避難小屋には2名の先客があったが、我々は外のギリギリ2張りはれるスペースにテントを張った。

12/31(日) 天候:晴れ

日の遅れを取り戻すため、まだ暗い内に出発する。
山はうっすらとしたシルエットで分かるが、しばらくはヘッドランプを頼りに歩かなければならない。夜が白々と明けてきて、ふと後ろを振り返ると、昨年登った涸沢岳西尾根が見えた。程なく槍平着。ここにてビーコンのスイッチをオンにする。いよいよ中崎尾根に取り付く訳だが、トレースがバッチリある。しかし急登には変わらず、ひたすら登る事になる。

2時間ほどの登りで、奥丸山との分岐の尾根上に到着。ここからは、しばらくアップダウンの少ない尾根を歩くので楽だ。調子の悪い清水から荷物を分けたりしながら尾根を進む。中崎尾根の中間部にあたる比較的広い場所には、いくつものテントが立ち、さしずめテント村。


   中崎尾根はテント村とかす…

我々は、せっかくなのでできるだけ上部にテントを張ろうと、先に進む。清水に合わせゆっくりと進む本隊から、松井を先行させ、最低鞍部のギャップを過ぎ、急登になる手前にテントを張れそうなコルを見つけたが、結局雪が少ないため整地ができず、その鞍部から若干戻った場所に張る事にした。風下側に枝尾根が派生している場所なので、そこそこ積雪もあり、女性陣の為のトイレも立派なモノが作れた。

今夜は早めに夕食を済ませ、紅白歌合戦も行く年来る年も聞かず、早々に寝る事にした。明日は早い、年明けの初仕事が待っている。

   滝谷避難小屋を出発してすぐある細い橋


【12月31日(日)】
0430 起床
0500 朝食
0605 滝谷避難小屋出発
0730 槍平小屋着 (30分休憩、ビーコン装着、説明)
0850 中崎尾根への登り途中の尾根着 (20分休憩)
1010 奥丸山との分岐着 (20分休憩)
1105 中崎尾根稜線上幕営地手前着 (25分休憩、荷物の分配)
1235 中崎尾根稜線上(2450m地点)着 テント設営
1700 夕食
1900 就寝



   中崎尾根へと上がる急登



  我らのテント場は尾根から派生した枝尾根の上

  槍ヶ岳の上に月が出る

 ※飛騨沢にはいくつものトレースが…
 まあ、雪も少ないので大丈夫でしょうが、
 それでも若干のデブリも出ており、
 ちょっと私は怖い。
 なんと沢筋の樹林の中にはテントもあった。
 ん…がんばってください。。
 としか言えない。
 そういえば今年の槍は、
 一目見て、あまり冬山に慣れていなそうな人が
 沢山登っていた。大丈夫なのでしょうか…ね?
 

 何を考えているのかな? 目線の方向には槍ヶ岳がある
 
  2006年最後の夕日を眺める …12/31.16:37 テントにて
明け前の白々とした視界に、
       この景色が飛び込んできた。

←西鎌尾根の稜線上から望む北西側の山々
  (左上のとがった山は水晶岳)

静寂の時が訪れるとき…
やがて太陽があがり、
すべてのモノをメラメラと焼き尽くす前のとき。


クリックして大きな画像になります
 こちらは笠ヶ岳と中崎尾根
【01月01日(月)】
0230 起床
0330 朝食
0425 槍ヶ岳アタック隊、幕営地出発
    ※(川名CL、松井L、原L、神戸、玉那覇 5名)
    ※TK(清水、篠塚、浅沼 3名)アタック隊見送る。
1020 アタック隊、幕営地着
1300 中崎尾根稜線上幕営地出発
1400 槍平小屋着
    ※テント設営
1500 槍平小屋付近にて、ビーコントレーニング
1630 トレーニング終了
1800 夕食
2030 就寝


 槍の肩への最後の急登
           締まった雪の急登が続く

登頂グループの行動記録
【01月01日(月)】

2007年元旦(快晴)
0230 起床
0330 飯(雑煮)
0425 槍ヶ岳アタック隊幕営地出発
0600 休憩 (西鎌尾根上)
0652 槍・肩の小屋(初日の出・休憩23分) 〜0715 発
0750 槍の頂上(25分休憩) 〜0815 下山開始
0840 槍・肩の小屋着(20分休憩 〜0900 発
0946 千丈乗越通過
1020 幕営地(BC)着

記録:Tama


01/01(月) 天候:晴れ

2006年最後の夕日が沈むときもその姿を見せ、夜の間ずっと白く山を浮かび上がらせていた月が、出発準備をしていたらいつの間にか沈んでしまった。おかげで真っ暗な中をヘッ電で登り始める。ただ、これが2007年の幕開けかと思うと、心なしか身が引き締まる。疲れる登りと遭遇するたびに、なんでこんな事しているのでろう…と自問自答をする。今年は何回、そんなことを考えるのだろう。
というわけで、2007年も、自問自答しながらの登りで始まった。
雪は適度に絞まり、アイゼンが小気味よく刺さり快適な登りだ。しかしここで神戸が少し不安になり、腰が引けだした。スピードは落ちるが、松井にアンザイレンさせる。タイトロープは、ガイド検定の予習だよ。と言ってやる。ロープを着けるだけで、不思議と安心感がでる。


 初日の出は北八ヶ岳から上がった。こんなにきれいな初日の出は何年ぶりに見るのだろう。我を忘れ、ただただ見とれた…

 我を忘れ、ただただ見とれるばかり…

槍を見上げながら、西鎌尾根の最後を登り切ると、そこにはとびきりの朝日が待っていた。槍ヶ岳山荘の見慣れた営業時期出入口の前のベンチへ到着して休憩をしていると、ラベンダー色からオレンジそしてイエローへときれいなグラデーションを見せる東の空から、今年初めての太陽が昇りだした。行動食を食べることや、暖かいお茶を飲むことや、山頂への登攀準備をすることや、色々な事を忘れ、しばし全員が東の空に釘付けとなった。

ご来光は、丁度北八ヶ岳の麦草峠付近からポワっと現れて、私たちの頬をみるみる温めだした。みんなは1秒1秒のこの瞬間を味わおうとただ太陽に見とれるばかりだが、私はカメラ小僧(おやじ?)の習性からか、ファインダー越しに見る日射しに向かって、パシャパシャとシャッターを押し続けた。
満足顔の玉ちゃん
 初登りの願い事? それとも日だまりでウトウト?
感想 Tama
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元旦の槍ヶ岳に登る

時起床、4時25分出発。
風は多少あるものの、雲も一つなく、 昨日は遠かった槍が近くに見える。月も没した中崎尾根をヘッドランプの明かりのみで登っていく。やわらかい雪の急斜面を登り、クラスト気味の斜面をジグザグに登り切ったところで千丈乗越と合流。風の収まるポイントを求め て西鎌尾根のアップダウンを繰り返し、6時に休憩を取る。 薄暗い中、槍の黒々とした岩肌が見える。ヤッケのフードを被り、 ここから肩の小屋までクラストした大斜面をアイゼンを効かせて慎重に登る。 滑落の心配もなくなり、傾斜もなくなると、肩の小屋だった。 見慣れたベンチも半分雪に埋もれていた。ここで川名さんと握手。八ヶ岳?から昇る元日の初日の出にも丁度、間に合った。

時20分、槍のテッペンに向かう。雪が付いて夏より歩きやすい と言われ、ノーザイルだったが、一歩だけ嫌らしかった。 7時50分、槍の頂上に到着。風も空気も穏やかな頂上で360度の冬 景色を存分に堪能する。

肩の小屋に戻り、のんびり記念撮影をして9時下山開始。登りに緊張した斜面も幾分か緩み、多くの登山者に耕されて歩き易く、順調に下り、千丈乗越を10時前に通り過ぎ、10時20分には テントに戻った。

山3年目にして厳冬期の槍の頂上に立つことができた。 森羅に入会した年度に、白毛門の新雪のラッセルと重荷に苦しみ、風雪の中、右も左も判らず赤岳に登った頃を思えば、非常に感慨深い。今回は天候、積雪状況、リーダーに恵まれた部分があり、 過信せずに、今後の登山に活かせればと思う。

玉那覇重人@086
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 準備に忙しいカンスケ…

クリックで大きな画像になります
 (登頂組、全員で記念写真)

いよいよ槍の先へ登る…
槍ヶ岳山頂へ

那覇は原が、ロープは結ばずサポート。神戸は松井が、タイトロープでサポート。川名はフリーで登る。雪が適度に着き、アイゼンが利きやすいので、夏場よりも登りやすいかもしれない。夏場の下り専用ルートはトレースもなく、上り下りはすれ違う登山者間で譲り合いをしなくてはならないが、登っている人数そのものが、夏場とは段違いに少ないので大丈夫だ。

槍ヶ岳山荘(肩の小屋)の影から一歩出ると、北西からの風が冷たい。慎重に登りつつ下を眺めると、我々が登ってきた中崎尾根が長い尾っぽを引きずる恐竜の様に見えた。穂高連峰の重なりも、高度を稼ぐ毎に分かりやすくなる。はしごにくっつきすぎる神戸をサポートしつつ、カンスケが山頂到着。すでに原と玉は記念写真に忙しい。狭い頂上はすばらしい高度感で魅力的だ。狭いが故、高揚感もまた大きくなる。

360度の展望を楽しみつつ、元旦に北鎌尾根から登ってくるというKちゃんを少し探したが、独標辺りまで人影は見あたらなかった。

下山にかかる。


 山頂直下 あとひと登り 

 振り返り見た笠ヶ岳が朝日に光る… 左下に中崎尾根が、キレットからのこぼれ陽を受けていた。

 山頂の祠の前で記念写真。厳冬期とは思えないこの天候… みんな満足顔だ。

  タイトロープのまま下山を開始するカンスケ
 山を下りる時…

← 山を下ると言うことは、
  達成感と充実感と疲労感と安堵感と…
  色々なモノが混ざり合っている時に、
  まだまだ緊張感を維持しなくてはならない…
  という事だ。
  肩にたまった力を抜いて、
  ほら、楽しそうに下りてご覧。。


の小屋からの下りは、千丈乗越をほぼ中間地点にし、約2時間であった。TKの清水に10時の定時連絡をする。あと15分で着くという私の言葉を信じてもらえなかった。

テント到着後、予備食のラーメンを食べたりしてしばらく休憩をしたが、時間も早いので本日は槍平まで下る事にする。手早く(?)撤収をし、下りはこのテント場から、ダイレクトに飛騨沢に降り、沢筋を槍平まで行く事にする。 登りでかかった時間の半分もかからず、一気に下った。

 中崎尾根上に作ったBCから、ダイレクトに飛騨沢に下った。
 天気はまだ良く、日射しがまぶしい。

トレースの無い雪の中は、下りとはいえ足を取られる。川名はひとあしお先に直下降ルートを探しながら下り、他のメンバーはそれをなぞる形でついてくる。しかしフワフワで気持ちが良い。

平到着後、まだ時間があるとの事で、ビーコントレーニングをする事にした。しっかりとしたトレーニングどころか、使い方もままならない新人の二人を中心に、3名づつ別れてビーコンを隠す。
子供の頃に遊んだ、缶蹴りや鬼ごっこやかくれんぼうを思い出し楽しい。

槍平には、先ほど槍ヶ岳山荘で会った、"元森羅会員"のSくんが先に降りていて、すでにテントでまどろんでいる。夜は彼も加わって、合宿最後のテントを楽しんだ。ちょっと飲み過ぎたか?この晩はやけにトイレが近かった。

女子は冬期小屋のトイレが使用できるが、だいぶ汚いらしい。水は沢の水がそのまま汲めた。
こんなところからも、小雪がうかがえる。
夕方になり、下り着いた頃はまだ見えていた中崎尾根が、どんよりとしたガスで覆われてきた。天候は確実に悪くなって来ていた。ここまで下りてよかった。明日はほんの少しで下界だ。

 

槍平に到着 後方に涸沢岳西尾根が見える ビーコントレーニング…っていうか、鬼ごっこ?
【01月02日(火)】
0530 起床
0600 朝食
0710 槍平小屋出発
0750 滝谷避難小屋先着 (15分休憩)
0905 奥穂高登山道分岐着 (15分休憩)
1045 新穂高温泉駐車場着

(記録担当:numa)





 静かな森を、後ろ髪引かれながら下山…

01/02(火) 天候:曇り

てさて、すでに最終日…。
都合4日間であった合宿も今日で終わりだ。
曇り空だがまだ雪は降り出していない。のんびりと7時発を目指して5時過ぎに起きた。本当にお天気に恵まれたお正月だった。

下りはほとんど空荷状態となり、登りであえいでいた清水も快調。滝谷の避難小屋と白出の出合で休憩を取りながら、新穂高温泉の駐車場に下り着いた。沼車アクシデントがあり少し遅れたが、平湯の温泉で入浴後昼食も取り、ほっと一息をつく。

今回は人数的にも小ぶりだし(昨年の冬合宿は16名だった)、全員で穂高町のT邸宅へ向かう。豪華なおせちと数十本の缶ビールを空けて、さしずめイナゴの大群の様に、食材を平らげた。
※Tさん、いつもありがとうございます。


は楽しい、
しかしただ登るのではなくて、
気のあった仲間と登る山はさらに楽しい。
今年一年は始まったばかりだが、
好きな仲間達と好きな山に登るには、
1年が365日というのは日にちが少なすぎる。
だから、来る日も来る日も山に登り、
山に登れない日は山の事を考える。
そんな1年がまた始まった。

川名 匡@001
 

end

 


写真と文 : Tadashi Kawana
記録 : M. Asanuma




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山岳会"森羅"代表:川名 忠(匡)
kawana@mt-sinra.com