山行報告98-INDEX


【会山行報告】99.4/02up
稜線(横岳西壁) [南八ヶ岳山行]
赤岳ピストン・阿弥陀岳北稜

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期日:1999.01/14N〜17
場所:南八ヶ岳
目的:冬季登山技術の習得及び南八ヶ岳の地形特性の把握
[メンバー]
L川名、SLカンスケ、トラ杉、ゆーちゃん、金太郎、カボちゃん、
笹ポン、HELP、ごみっち、以上9名
[行程]
1/14(木)一部メンバー茅野市内のホテル泊(翌15日早朝合流)
1/15(金)茅野→美濃戸口〜(北沢)〜赤岳鉱泉〜中山乗越〜行者小屋(テント設営)
1/16(土)行者小屋BC〜(地蔵尾根)〜地蔵の頭〜赤岳山頂〜(文三郎道)〜行者BC
1/17(日)A隊[阿弥陀岳北稜登攀]A1:L川名、トラ杉/A2:Lカンスケ、ゆーちゃん
     B隊(一般ルートで阿弥陀岳ピストン)L金太郎、笹ポン、HELP
     阿弥陀山頂にて合流〜行者BC(テント撤収)〜(南沢)〜美濃戸口→帰路
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1月15日
【コースタイム】
美濃戸口7:50〜8:50美濃戸9:20〜10:55堰堤広場11:10〜12:55赤岳鉱泉13:15〜14:10中山乗越〜14:25行者小屋

 ・出発、集合
 真夜中の0時起床。車で出かけるのはワシだけ。電車で行くメンバーとは朝 6時にJR茅野駅で落ち合うことにしている。今頃、電車組は茅野のホテルで 宴会しているだろうな。  曜日の概念がすっかり失われている失業者のワシであるが、考えてみれば今 回の日程は3連休。スキーにレジャーに車が出てきてこの不景気を吹き飛ばし ているかもしれない。渋滞に捕まってデートに遅れないよう、午前1時半に出 発した。
 時間が時間だからか、高速は空いていた。首都高速を走っているのはタクシ ーだけ。SAで時間を調整しながら5時半、茅野駅に到着。駅のコンコースに は色とりどりの寝袋にくるまった登山者が、マグロ市場でセリを待つ冷凍マグ ロのように転がってバスの始発を待っている。
 昨夜、みんなが泊まったホテルを探してロビーでゆっくり暖をとろうと思っ たが、そのホテルが分からない。駅でうろうろしていたらゆーちゃんに声をか けられた。続いてHELP。今回、新入部員の笹ポンとビジター参加でこの山 行より会員となったHELPには初対面だ。みんな集合したので、ワシの車と タクシーに分乗して八ヶ岳めざして出発。

入山(北沢林道)  ・入山前に道に迷う
 ここで、はたと気がついた。家でお茶を入れてテーブルの上に置いておいた テルモスを持ってくるのを忘れた。急遽、コンビニ探し。なかなかない。やっ と探し当てて、ペットボトルのウーロン茶を購入。このお茶は、使い捨てカイ ロで暖めながら3日間大事に使った。
 いよいよ山へ向かう。曇り空ながら夜が明け始めた空に八ヶ岳がはっきりと 見える。市内をうろうろ走り回ったので、美濃戸へまっすぐのびる道が分から なくなった。とにかくそれらしい方角へ車を走らせるが、どうも蓼科高原方面 へ行ってしまう。原村方面へ何とか出ようとして別荘地みたいなところへ迷い 込み、仕舞いには雪をかぶった未舗装道路へ出てしまい、こりゃだめだと引き 返す。何とか美濃戸への道を見つけて、美濃戸口へ到着したのは7時半を過ぎ ていた。タクシー組には寒いところで待たせてしまった。
 
 ・美濃戸口から行者小屋
 あわただしく荷物の分配をして出発。歩き出すとともに小雪が降ってきた。 昨年12月に腰を痛め、それ以来トレーニングを怠ってきた身には、久しぶり の20Kを越える荷物はこたえた。美濃戸の赤岳山荘で休憩。ほっと一息。 ここの野沢漬けはいつ来ても美味である。
入山(中山乗越)  最初の計画では、今日は赤岳鉱泉に荷物をデポして硫黄岳ピストンだったが、 出発が遅れてしまったことと、雪が降ってきたので、南沢ルートで行者小屋に 向かうことにする。
 ところが歩き出してすぐ、南沢と北沢の分岐には行者小屋は閉鎖中と書いて ある。行者小屋が閉鎖中だと酒が買えないじゃないか、と北沢ルート赤岳鉱泉 経由と再びあっさりコース変更。
 ここより、少しだがこれまでよりは道の傾斜が増してくる。時々、林道を離 れて林の中のショートカットの小道に入る。小道は時には凍結している。つる つるの氷になっているところもある。そんなところで先頭のゆーちゃんが足を 取られてこけた。脳震盪は起こさなかったが、かなり痛そう。おでこに打ち身、 赤く腫れている。サロンパスを貼って応急処置。本人は記念にそのおでこ写真 を撮る。

 針葉樹の森がカンバに変わると赤岳鉱泉は近い。赤岳鉱泉まで来てみると、 行者小屋は、素泊まりだけなら営業中だという。なんだ、酒買えるじゃん。

 ・突然の大所帯となる
 赤岳鉱泉をあとに中山乗越へ向かう。雪が深くなる。傾斜もこれまでとは格 段に急になる。ここら辺から横岳の岩壁の眺めが絶景のはずだが、この降雪で は何にも見えない。
 はぁはぁぜいぜい、約1時間かけて中山乗越に到着。針葉樹に囲まれた中山 乗越は森閑としている。あとは下りだ。

 行者小屋のキャンプサイトには、かなりの数のテントがすでに張られている。 小屋から一段あがったところにテントを二つ設営。新雪を均していたら、氷化 した黄色い雪が出てきた。まさか、キジじゃないよね。その黄色い雪をどかそ うとピッケルで掘ると、どんどん黄色。おまけに強烈な臭い。安酒屋のトイレ のような臭いだ。どうも、酒混じりの汁を捨てたらしい。掘ってもきりがない ので新雪で埋め戻してその上にテントを張る。
 テントを張り終えたら、どーもとか言いながらパンプキンとYGが現れた。 おお、これでメンバーは総勢9名。パンプキンも隣にテントを張る。大所帯と なった。しかし、長期出張だったパンプキンからは、確とした参加表明がなか ったから、エサは自分持ちだぞ。
 食当の笹ポン、かいがいしく食事の支度。手つきがいいねぇ、慣れている。 どうやら家庭教育がしっかりしているらしい。今夜のメニューはカレー&ポテ トサラダ。
 宴会が始まるとともに関西弁HELPの独演会となる。そう言えば金太郎も 関西というか九州出身。パンプキンは神戸だ。カンスケまでが関西弁っぽくなる。  外でパンプキンがこちらのテントに入りたがっているが、4〜5人テントに7 人が膝をつき合わせているのでとても入れない。
 ビールに梅干し入りホットウイスキーを少々やったら、もう19時間以上も 起きているわしゃ眠くなった。パンプキンとYGちゃんに入ってもらって、わ しゃ隣の3人テントで寝る。宴会は文字通り宴々(延々)、だったらしい。

赤岳への登り 1月16日
【コースタイム】
行者小屋7:50〜9:10地蔵の頭〜9:20展望荘〜10:20赤岳山頂10:45〜11:10中岳分岐〜11:40行者小屋

 ・風の稜線
 3時半に一度目を覚ましたが、寝る前の天気がいまいちだったので再び眠る。 携帯カイロを二つも抱いていたら暑くてしようがない。寝袋の中でゴソゴソと カッパ、フリース、靴下を脱ぐ。
 オシッコが我慢できなくなって6時起床。
 わ〜お〜、稜線にやや雲が巻き付いているものの、予想外の好天。遠く北ア ルプスも見えるではないか。
 みんなを起こす。テントから首を出すごとにワー。ゆーちゃんが朝焼けの稜 線の写真を撮るのに忙しい。もし天気が芳しくなかったら、そこら辺でラッセ ル訓練でもやろうと言うことだったが、今日は登れそう。
 食当の笹ポン、あっつい麻婆春雨を作ってくれる。
 9名縦列で出発。地蔵尾根を通って、とりあえず地蔵の頭を目指す。ワシゃ 心おきなくカラキジをぶっ放せるしんがり。昨夜積もった雪はサラサラ。地蔵 尾根はうっかりするとズルリと滑ってしまう急斜面だが、それだけにあっとい う間に高度を稼げる。大同心、小同心、中山尾根などの横岳の岩場の眺めが圧 倒的である。わしゃ、挑戦3回目にして登れるかもしれない阿弥陀北稜につい つい目が行ってしまう。
 年寄りにはこの傾斜はきついぞ。森林限界をすぎると猛烈な北西風。本格的 だな、この風。道は岩混じりとなり鎖もあるが、我がメンバーは誰も鎖に頼ら ない。やせた稜線に出てすぐ地蔵の頭。強風でゆっくり腰を下ろして休んでい る余裕はない。すぐそこの展望荘まで行くことにする。
 展望荘も風をさける人でいっぱいだった。小屋が開いていたら中に入って二 度と外へ出たくなくなるだろうな。
 
赤岳山頂  ・赤岳頂上の樹氷
 展望荘の周りにも休み場がないので、小憩のあと赤岳を目指す。雪が風で吹 き飛ばされてガラガラの岩くずのところもある。発達しかけたエビノシッポが 飛ばされてくる。これが顔に当たるとほんとに痛い。エビノシッポの砕けたか けらが吹き溜まりに雪のようにたまっている。吐く息がヤッケの襟元に凍り付 く。

 展望荘から約1時間で赤岳頂上。展望バツグンのはずであるが、眺めている と風に吹き飛ばされそうになる。この日、笹ポンは自己の高度記録を更新した。  頂上の岩陰に風をさけて行動食を口にする。行動中やたら腹が減るワシは、 ハム、ちくわ、パン、羊羹などを持ってきたが、とてもナイフを取り出してこ れらを切ったり貼ったりできない。チーズ、あめ玉、カステラ、大事なウーロ ン茶でがまんする。カンスケからテルモスに入れたシェルパティをもらう。こ れで暖かくなる。
 ハラに食い物を入れると少しは落ち着く。メンバーの顔を見渡すと、今回は ヒゲ面が三人いるが、そのヒゲの長い順に顔に立派な樹氷を飾っていた、らし い。手でその樹氷をしごくと、白髪ヒゲが一緒に抜けて痛い。こうしてワシは、 3000m近い冬の山巓で生きていることを痛感したのだった。

 ・眺めバツグン文三郎
 強風を受けての稜線の下りは危険である。佐久側に吹き飛ばされるおそれも ある。文三郎尾根への道は、頂上直下は岩場で始まるが少し下れば稜線の下に はいるので、風は上へ吹き抜けるとの匡リーダーの判断で、文三郎を下ること にする。
 中岳分岐まで降りるとだいぶ楽になった。雪が渦を巻いて巻き上げられてい るところもあるが、思わず風下を向いて耐風姿勢を取らなくても良い。
 右には赤岳から横岳に続く八ヶ岳西面の磊磊たる岩場。その稜線には時とし て雪煙が舞い上がる。左に阿弥陀の急斜面と明日登るだろう北稜。はるか下に 行者小屋の色とりどりのテント。そのテント村と小屋を囲むのは、梢に深々と 雪を戴く鬱蒼とした針葉樹の森である。


 ・ゆとりの午後
 テン場には12時前に帰り着いた。午前中に行動を終えるなんて余裕だ。テ ン場からゆっくり双眼鏡で眺める。中山尾根の岩場に張り付いている人、阿弥 陀北稜に挑んでいるクライマーが見える。
 午後、テントの中で談笑。HELPのおもろい話が続く。話し終えると、狭 いテントの中で片頬杖のまま斜めになっていびき。笹ポンは相変わらず食当。 ほんとはゆーちゃんが食当のはずだが3人テントで昼寝。金太郎は風邪気味な のかしきりに咳払い。パンプキンとYGは下山。
 夕食はハワイアンステーキ、チリソースご飯と豪華。ビールを買い足し延々 と宴会。良かった今日の天気も夕刻とともに怪しくなってきた。稜線に雲がか かり、西の方は見えているものの空は青くない。明日はどうなるか?

阿弥陀に朝日があたる 1月17日
【コースタイム】
行者小屋8:00〜9:30頃 取り付き 10:00頃〜11:10岩場終了〜11:25阿弥陀岳山頂12:00〜12:30中岳のコル〜13:15行者小屋15:00〜17:00美濃戸17:20〜18:10美濃戸口

 ・なんと今日も天気がいいではないか
 3時半にゆーちゃんが外を覗く。ガスっているそうだ。夜のうちにまた天気 は崩れ、若干の積雪もある模様。時々風が走り抜けていく。また寝る。
 6時起床。おお、晴れている! 昨日よりいい天気だ。雲一つない。ただ稜 線は風が強そうだが。
北稜への登り  今日は阿弥陀岳に挑む。一般ルートは金ちゃんがLで笹ポン、HELPの3 人。北稜はカンスケ(L)とゆーちゃん、匡(L)とワシの2パーティでザイ ルを組む。ハーネス、メット着用でテントを出る。昨日の寒さで懲りたので、 メットの下には目出帽を被る。昨日はメンバーの半数が顔に軽い凍傷を被って いた。ヒゲで防御しているワシも、ごく軽微ながら右頬に凍傷があるらしい。  しばらく沢沿いの道を全員で行く。一般ルート隊は、トレースがしっかりし ているから文三郎経由で行くよう金ちゃんLに匡チーフLから指示。北稜隊は 右の斜面にとりつく。

北稜取付  ・凍えたビレー
 先行者のトレースか、昨日の踏み跡かは分からないが、間違いなく北稜に向 かうトレースがあるので、これをぐんぐん登る。まもなく稜線。風が強烈。 ルートは樹林混じりの岩場に出る。ここはカメムシさんたちが最初にザイルを 出したところだな、きっと(FYAMAALP MES10 #00746参照)。大休止も取らない まま直上。やや平坦になるとすぐ壁に突き当たる。岩の基部で雪煙が渦巻く。 ここでザイルの準備。足下から切れ落ちていてなかなかに高度感がある。
 あとから来た3人パーティ(だったと思う、ザイルのキンクをほどいていた ので確認しなかった)にここで抜かれる。ラストがなかなか登らないので待つ ことしばし。後続はいないのでゆっくり支度できる。
 最初はカンスケ。岩の左よりにルートを取って取り付く。オーバーミトンを 着けたまま登っている。カンスケをゆーちゃんが確保。寒さのせいか、足が小 刻みに震えている。行動すると暑くなると思って、フリースはザックの中のワ シの足も震えている。ビレーしている足下の左の斜面を、グラニュー糖のよう に角の取れた雪が流れていく。
 強風の中で怒鳴っても何も聞こえないので、ザイルが張ったらセカンドは登 ることにする。ゆーちゃんが壁の向こうに消え、匡Lが登り出す。あっという 間に消えた。やがてザイルがするすると伸び出す。足踏みしているうちザイル がいっぱいになったので登る。ホールドはガバ。最初の2mほどを登ると傾斜 が緩くなる。右に斜上するバンドがあってここには雪がついている。まだ新し いアイゼンがかわいいので雪のバンドを進む。あまり斜上すると、落っこちた とき振られるのでまた岩にアイゼンの爪を引っかけながら登る。
 ビレーしている匡Lのそばを通過してそのままトップ交代。赤っぽい感じの 岩を越えるとナイフリッジ状の平坦、その上の斜面でカンスケとゆーちゃんが いてザイルを処理している。二人の所まで登ってセルフビレー。ワシのピッケ ルは木のシャフトが80cmもある40年近い昔の骨董品なのでカラビナを通 す孔もない。カンスケのピッケルを借りてビレーする。匡Lが顔を出す。登る のが速いので、手足の短いワシゃ、ザイルをたぐるのがやたら忙しい。
 これで今日の核心部は終了。あとは雪の斜面を登って一般ルート隊が待つ頂 上へ。

阿弥陀山頂にてバリ組  ・天上の憩い
 阿弥陀の頂上には不思議なことに風がなかった。ハラ減った。誰もビールは 持ってこなかったよね? 残念。
 昨日食いっぱぐれた味付きのちくわを囓る。うまい。そもそも行動中に何も 口に入れないで登りに専念するなんて、最近にはない登り方をしてしまって、 非常にハラが減ってしまった。ワシゃ、燃費が悪いのかな? などと考えなが ら今度はレーズンパンを囓る。
 今日も使い捨てカイロで暖めたウーロン茶を飲む。
 北稜を登ってくると正面に富士山。その富士山には驚くほど雪がない。右に 目を転じていくと、農鳥、間ノ岳、北岳、仙丈岳などのまがりなりに雪を戴い た山々と、黒さが目立つ鳳凰三山、甲斐駒などの南アルプスの峰峰。その右後 ろに、控えめな中央アルプス。乗鞍、木曽の御岳はさすがに白い。穂高から白 馬へと北アルプスの山々は真っ白な壁。肉眼では定かではないが、双眼鏡で覗 くと、その白い北アルプスにあって槍の穂先だけが真っ黒。鹿島槍の双耳峰が ひときわ美しい。妙高黒姫も見える。近くに浅間山。今日は煙を噴いていない。 そして間近に峨峨とした横岳、赤岳の岩稜。手前の中岳も立派に見える。

カモシカ  ・あれは剥製か?
 天気はいいし風も凪いだので、いつまでもこの山頂に居たいが、明日は仕事 のメンバーもいるので下山する。ゆーちゃん先頭。おいおい、そっちは南陵だ ぞ。
 金ちゃんたちが登ってきた一般ルートも結構な傾斜である。ここでひっくり 返ったら谷底まで止まらないぞ。中岳のコルまで降りて一安心。あとは谷沿い のトレースをのんびりたどるだけ。グリセードで降りたいところだが、少し傾 斜がきつすぎるのでアイゼンを着けたまま。
 あっという間にもう森林地帯に入る。ゆーちゃん、笹ポン、HELP、金ち ゃんはとんとこ先を行く。カンスケ、ワシ、匡の3人はなぜかゆっくり。
 左側に二人分くらいの北稜へのトレース。あれ、こんなに上から取り付いた 人もいるのかな? と何気なく左を見ると、4〜5m先に剥製が立ってこちら を見ている。まさか、わざわざカモシカの剥製をここに立てるか?おや、剥製 が動いた。それは本物のニホンカモシカの親子であった。先に行った連中にも 知らせてやりたいが、大声は出せない。
 カンスケが、「かっわいい〜」を連発している。匡が急いでカメラを取り出 す。親子はそこを動かない。母親は少し用心ぎみだが子供は無邪気。暖かそう な毛皮を着ている。
 匡、カメラをかまえて「ほら、ポーズ、ポーズ」
 すると親子はこちらを見てポーズをとった。写真を撮り終わると、子供はず りずりと深雪の中を登り出す。さっきのトレースだと思ったのは彼らの踏み跡 だったのだ。
 ワシの白い顎髭を目出帽から出したら、もっと近寄れたかも。下で待ってい た連中にカモシカを至近距離で見たぞ、と自慢した。ゆーちゃん、HELPは 駈け登って見物に行く。笹ポンはこの次に来たときに会うからと悠然。
 平坦地まで降りるとカモシカの興奮も冷め、匡Lはラッセル訓練を命じる。 ワシゃ、26日から修行地でいやというほどラッセルしなきゃならないからや めた。陽が穏やかに後ろから射している。雪の中で転げ回っているみんなを眺 めながら、最後尾をワシゃゆっくりと下った。

 ・暗闇では足が速い
 テン場に戻って一息ついてからテント撤収。テン場ではもうほんの数張りし かテントは残っていない。陽が稜線の陰に隠れて急に寒くなってきた。入山し た時とさほど重さの変わらないザックを担いで南沢を下る。所々、青氷になっ ている箇所もあるのでアイゼンを着用していてよかった。さすが八ヶ岳に詳し い匡Lの指示は的確である。途中我々を追い越したノーアイゼンのカップルの 女性が、我々の前で見事にこけた。
 二つ目の堰堤を越すとそこは美濃戸。振り返ると、残照に赤く輝く阿弥陀岳 が被さるようにたっていた。美濃戸の八ヶ岳山荘で温かいおでんを食べて一息。 もう暗くなってきた。軒先の寒暖計は氷点下9度近くを指している。
 林道をひたすら下る。下る柳川谷の向こうの夕焼けもすっかり闇になった。 段々足が速くなる。今日の好天で解けた雪が再び凍結している。時々、足を取 られて誰かがおっとっとする。
 大きく右にカーブして橋を渡り、これで最後というところで上り坂。ワシゃ、 突然スローダウン。今回の山行でこの登りが一番つらかったぞ。どっこいしょ。
みんな

おしまい

作成日:1999年01月21日
作成者:杉山@森羅(No.003)
公開パティオ-#00182



中岳 **************************************************************
[阿弥陀岳一般ルート]1/17(日)
メンバー:L金太郎、笹ポン、HELP
行程:行者小屋BC〜文三郎尾根〜中岳〜阿弥陀岳〜中岳のコル〜行者小屋
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 6時起床。当初の予定からいくとちょっと遅くなってしまったが、これだけの 天気を見せられたら阿弥陀に行くっきゃない!。昨日、赤岳に登頂出来た事で結 構自分の中では満足もあったが、やはり見上げているうちにテンションは上がっ ていく。
昨日とは違い、今日は岩稜登攀に挑むチーム(以下バリ隊)と一般ルートで登る チームの2コースに分かれて阿弥陀岳山頂で合流という計画である。私自身、冬 の阿弥陀岳といえば2年前に一度登った思い出の山である。その時は六つ星山の 会の精鋭とご一緒し、山頂で感動した事を思い出す。山頂のお地蔵さんに会うの が楽しみだ。

さて、いよいよ行動開始である。当初の時間差スタートを止め、バリ隊と一緒に 出発する。 最初の予定では中岳のコルへのルートを予定していたが匡さんの指示でトレース がしっかりしているだろう文三郎尾根経由のルートを行く事にする。行程として は遠回りだか、時間的にはバリ隊との合流を考えたらちょうど良さそうである。
 バリ隊にエールを送り3人は文三郎尾根を行く。私が一般隊のリーダーに任命さ れたが、笹ポン、HELPさんとも全く足元に不安はない。むしろ私がいち早く あごを出す事になるのであった。
前日赤岳からの下りで歩いた文三郎だが、登りになると全く違った表情を見せて くれる。それにしても天気がよくきつい反面気持ちいい登りだった。ただ、いく ら意識していても網の階段にアイゼンが引っかかって参った...。
息を切らしながら赤岳と阿弥陀岳の分岐に到着。この辺りは非常に風が強い。足 を止めずに中岳方面への下りにかかる。昨日は吹き付ける風雪にメガネが役に立 たなかったが、今回は風は強いものの雪がないので見えなくなる事もなくほっと する。しかし油断は出来ない。フードがめくれたと思ったら次の瞬間、帽子が飛 ばされた。運よく後続のHELPさんの足に引っ掛かり回収出来たのは幸いであ った。
やまかげでようやく人心地。文三郎ではぬきつ抜かれつしていたパーティの殆ど が赤岳を目指し阿弥陀方面は少ない。
休憩を終え、中岳を経て阿弥陀岳への最後の急登にかかる。昨夜からの雪が積も り、一歩一歩が大変な労働となる。最近はみんな前歯のついたアイゼンをはいて いるが、私はプラブーツのくせに8本爪である。この違いが大きい事を今回はっ きり思い知らされた。歩き方の未熟さもあるんだろうが道具の差は歴然であった。 山頂を目前に私は青息吐息の状態となり、最後には先頭をHELPさんにお願い した。山頂近く、ふと見るとバリ隊の頑張っている姿が目に入る。一瞬、負けち ゃうんじゃないかと思ったが、そういう事はなく、11:00頃、山頂に到着。3人 で握手、抱擁を交わし、登頂を喜び合う。山頂ではお地蔵さんがいつもと変わら ず我々を迎えてくれた。
 真っ青の空の下、360度の展望を堪能しながら、バリ隊を迎えたのであった。
30分後無事合流した2パーティは中岳のコルを経て帰路についた(杉さんの報 告を参照下さい)。

作成日:1999年01月25日
作成者:冨田@森羅(No.005)
公開パティオ-#00188

南八ヶ岳山行



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